私は今の生活を幸福と感じているのだが、その理由の一つが、コンビニでサンドイッチを躊躇なく買えることであると思う。コンビニでサンドイッチが買えることは幸福である。
コンビニのサンドイッチは、高価い。300円前後する。この価格帯であれば、おにぎりを2つ買ったり、おにぎりおかずセットを買ったり、パンやカップラーメンや牛丼やのり弁など、サンドイッチよりもボリュームがあるものがたくさんある。そういった状況のなかで敢えてサンドイッチを買うというのは私の人生において長らく贅沢であった。それはフルタイムで働きはじめてからもそうだった。
しかし、段々と収入が増えてきて、最近は躊躇なくサンドイッチを買えるようになった。これは幸福だ。わたしは朝食としてサンドイッチとコーヒーを買う、これで500円くらいだ。あるいは忙しい日に昼食としてサンドイッチ2つとコーヒーを買う。これで700円くらい。700円というのはすごい価格だ。定食やラーメンも射程に入ってくる。そのなかでわたしは躊躇なく、いや若干はあるにせよ、サンドイッチを2つ、コンビニの冷蔵棚から手に取ることができる。これは幸福だ。
コンビニのサンドイッチは独特の美味しさがある。なんであんなにパンがしっとりしているのだろう。パン屋のサンドイッチとも、ビュッフェのサンドイッチともちがう。自分でサンドイッチ用のパンを買ってきても、もちろんそれはそれで美味しいが、コンビニのサンドイッチにはならない。子供の頃から、コンビニのサンドイッチを腹いっぱい食べたいと思っていた。
「いいかい学生さん、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。」というもはやネットミームになった漫画があるが、好きなものを好きなタイミングで買えることは幸福の要件だ。その対象が寿司やウナギであれば高望みな気がするが、とんかつというのはいい塩梅だ。私にとってはコンビニのサンドイッチが、えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいなのだろう。