先日友人に、どうやって読む本を探しているのかと問われた。私は少し考えて、kindleセールで、と答えた。身も蓋もない答えだ。
しかしやはり、本にセールというものが導入されたのは革命であるとおもう。
steam の話をしよう。わたしは steam で200本を超えるゲームを所有している。もちろんほとんどは一度も起動していないし、これからもするつもりはない。なんでこんなことになったのかというと、steam そのものがゲームを買うゲームだからだ。
まず steam にはセールがある。ダウンロード販売には中古がないのでその代わりというかなんというか、頻繁にセールが開かれる。その値引き幅はすごくて、50%OFF なんてザラ、90%OFF もちょくちょくある。また steam store 以外にも steam のゲームを売るサイトがいくつもあり、それらもセールをする。となると、1円でも安く買うぞというゲームになってくる。
さらに pay what you want とう販売方式があり、つまりこちらの言い値で買える。humble bundle が一番有名だろう。これがゲームに厚みをもたらす。値引率すごいけどそろそろ bundle 入りしそうだから買うのやめとくか、とか、買ったら翌日 bundle で売り出されてギャーってなるとか、よくある。
突発イベントとしては値付けミスというのがある。100$ で売るはずだったものを 10$ で売ってしまったり、そうするとSNSなどで一気に情報が広まり、アクセスが殺到し、修正されるまでに注文ができるかという祭りになる。自分はそのゲームをすでに持ってるから腹いせに拡散してやろうという人も現れる。
そうやってやりもしないクソゲーでインベントリがぶくぶくと太っていくのを見るのが楽しい。これがゲームを買うゲームだ。
いやいや、やりもしないクソゲーというのは言い過ぎで、例えば眠れない夜に何気なく起動すると気づいたら朝になっているということがよくある。そういう偶然の出会いもまた楽しい。
その是非はおいといて、値付けの自由というものが購買行動にゲーム性を付加する。
本の話にもどろう。本も電子書籍によってセールというものが導入された。これはセールという新しい出会いの場であって、普段なら読まないけどこの値段なら買ってみるかというのがよくある。
そういう本を暇な電車のなかや、眠れない夜にそっと開いてみると、案外おもしろかったり、新しい世界が開けたりする。
値付けの自由と本棚をすべて持ち歩けるという電子書籍による新しい出会いもなかなか良いと思う。
本について書きたかったのに文量としてはほとんど steam の話になってしまった。いやそれくらい steam のストア設計とエコシステムはすごいんだって、ほかのダウンロード販売プラットフォームが全然追いつけてない。